揺らぎあるラインパターンで、食卓を彩る「舫 ―もやいー」
伝統的な陶磁器の世界にモダンな感性を吹きこみ、日本の生活に沿った食器のデザインを、考え、作り続けた陶磁器デザイナー森正洋と、廣田硝子が1985年にコラボレートして制作した「舫―もやいー」。当時、森氏のロングセラーシリーズ「シェルシリーズ」のガラス版として作られ、その後、制作を終了しましたが、40年の時を経て2023年に復刻しました。
5種のカジュアルなラインパターンが透けて見え、きれいな模様として光り輝いています。深いレリーフですが、皿の裏面やグラスの表面に施されているため、汚れが溝に残る心配がなく、日常の生活の使用シーンを考えながらデザインした森氏ならではの工夫が施されています。
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森 正洋(もり・まさひろ)
日本の陶磁器デザイナー。1927年佐賀県藤津郡塩田町(現・佐賀県嬉野氏塩田町)出身。「日常の生活で使う器を考え、形を創り工場で生産することにより、多くの人々とともに共有し生活することに、デザインの喜びを感じる」というデザインポリシーにもとづき、戦後日本の生活を見つめた食器のデザインを、考え、作り続けたデザイナーである。生涯で110を超えるGマーク選定作品がある。1958年にデザインした<G型しょうゆさし>は、1961年にグッドデザイン賞(Gマーク選定)を受賞(G型しょうゆさし大/白磁・鉄砂、G型しょうゆさし小/白磁)、1977年には20周年記念ロングライフ賞を受賞し、以来今日まで生産販売が続くロングライフ製品である。2005年急逝。